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第2回 伊東市少年少女合唱団

2017年12月12日

出会いは、このサイトが立ち上がった直後の4月。
会員さんで学校の先生をしている方から「とってもパワフルで、すごい音楽の先生が率いる合唱団があるの!
もうすぐ発表会があるから、ぜひ取材してみて♥」とのお話。

取材担当のReikoも妹が川崎少年少女合唱団に在籍していて、合唱団と聞くと体がうずく・・・
東京駅から新幹線で1時間ちょっとの現地へ、早速取材に出向きました。

凛とした中に「優しさと強さ」を感じるオーラに圧倒される。
熱量の高さと冷静な指導に、しょっぱなから感動の連続。

新幹線に乗ってウトウトしてると、車窓から「海」が見え始める。
あっという間に伊東駅に到着。「伊東駅からタクシーに乗って、伊東市観光会館ホールにいらしてください」とのこと。
なぜだろう・・・美しい海が見えるだけで「旅感」が止まらない♥
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指定された場所は、「伊東市観光会館ホール」
そっと扉を開けるとそこに「伝説の指導者 純子先生」が!
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まだ誰もいない観客席から、舞台に向かって指導する「純子先生」
発表会を明日に控えて、指導にも熱が入ります。
初めましての挨拶もそこそこに、取材に入る担当のReiko。

たくさんの小さい子どもがいるのに、親が周りにいない不思議。
全ては、先生と子どもたちの信頼関係で進んでいく現場。


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会場の隅に書かれたリハーサルの予定表。
これも、子どもたちが全て予定を立て、分刻みにリハーサルを遂行していく。
純子先生と子どもたちのやりとりを聞いていて、びっくりすることの連続。
決して子ども扱いをせずに、一人の人間として全ての子どもと接する姿。
たとえ、小学一年生でもそれは一緒。

お母さんたちは、会場の外でチラシを折ったりお弁当の手配と忙しく動いていますが、
決して自分の子どもたちを見に来たり、指示したりすることはありません。

親が見えるところにいると、子どもは途端に親の顔色を見始めるからと、先生の独特の教えです。
子育て中の母としては、耳の痛い話。

確かに、親が介入してしまうと「なんでもっとこうできないの?」「あの子はちゃんとできてるのに」と
子どもにいらん指導をしてしまう。(これは私の話です。ついやっちゃうんです...)

しかも、これだけ小さい子がいるというのに 
「おトイレちゃんと行っておきなさい!」なんて言葉は、一日中会場にいて一度も聞かない。

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先生の教えを間近で拝見していると、『音楽』を通して今最も欠落していると言われている
「コミュニケーション能力」をきちんと身につけさせたい。という思いがひしひしと伝わります。

何か問題があれば「どうすれば良いと思いますか?」と常にオープンクエスチョン。
小さい女の子が「私はこうすればいいと思います」と自分なりにの答えをはっきりと言う。
「では、あなたに責任を移します。できますか?」と先生。
「はい」と女の子。
すると、責任という信頼をもらった女の子は、一生懸命できる限りの知恵と責任感を持って任務を遂行する。

理想論じゃなくて、本当にこんなことできるんだ。感動。05.jpg
この『伊東市少年少女合唱団』には、小学一年生から高校三年生までが在籍。
人任せにする子は一人もいない。
合唱団で音楽を学びながら、「自分で考える」という癖を身につけていく。

そして、純子先生は何度も繰り返す。
「聴く人の身になって歌いましょう。それは言葉を大切にすること。」

思いっきり歌うだけではダメ。
どこかを引かないと言葉は立ってこない。伝わらない。

合唱というと「とにかく元気に声を張って歌いましょう」と散々学校で言われた人も多いのでは?
もちろん私もその一人。
でも、純子先生は違います。

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「発声・発音は本当に丁寧に確かめます。音に乗せて言葉を伝えるというのは本当に難しい作業なんです。」

特に今の子は、べちゃっとした発声をする子がとても多い。だからこそ意識して発声や発音をしないときちんと伝わらないとのこと。
歌だけでなく「きちんと言葉を送り出してあげる作業は日常生活でも大切。それは突然やろうとしてもできないんです。」と純子先生。

そんな先生の元で育った女子高校生に内緒でお話を聞いてみました!(笑)
「毎週末、合唱団って・・・時には遊びたくならない?」と聞くと・・・

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「確かに、他のお友達みたいに遊びたいな〜。と思うときもたまにあったけど」
「合唱団の友達にも会いたくなるし、本当に歌ってる時が楽しいし」
「先生サボったら怖いし(爆笑)」
と、明るく楽しいぶっちゃけ話が続きます・・・

はじまりは皆、お母さんに連れられて合唱団の門をくぐったとのこと。
毎年開催される「伊東市少年少女合唱団の発表会」は地元では有名な催しもの。
子どもが小学生になったらぜひ通わせたい!と思ってる若いママは、実はとても多いそう。

こんなにもOB&OGが駆けつける合唱団ってすごい!!

そして、合唱団名物?それとも純子先生パワー?
ジャジャーン!!今回の「発表会のために駆けつけてきたOB&OG軍団」です♡
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先生に近況報告をしながら、後輩達に的確なアドバイスも与えていく。
そして、多くの男性(OB)が純子先生にご挨拶している姿も。

そんなOBにちょこっとインタビューすると・・・
『なんで合唱団に入ったの?』
「学校以外の友達ができるのが楽しくて!」
「その当時は、週末は純子先生に会うものと思っていました(笑)」
「今でも、趣味で音楽やってるんです」
「卒団してからも、毎年ここにくるのが楽しみなんです!」

などなど・・・イケメン軍団が教えてくれました〜♡
そして、そんな男性陣がつけた純子先生のあだ名が・・・
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でもね!!無茶ぶりはするが、丸投げはしない!!
そこが、子どもたちがついてくる理由。

そして、この合唱団の子どもたちは純子先生の教えの通り、皆ハキハキしている!
相手の目をまっすぐ見ながら、正しい敬語を操りながら、物怖じせずに答えてくれる女子高校生をはじめとする団員たち。

このまま『就職活動』に向かっても、合格するのでは?と思ってしまう。
皆、純子先生の教えで育った先輩の姿を見てしっかり育っていくという、素晴らしいスパイラル!!

・・・気付くと、朝の10時〜夜の7時までぶっ通しのリハーサル!
集中を切らせないで、全ての子どもがついてくる。
「純子先生のミラクルワールド」もいよいよリハーサルのクライマックスへ!

子どもが「大道具」「衣装」「ダンス」まで考えるミュージカル。

【ミュージカル 11匹のネコあらすじ】

『お金』も『家』も『仕事』も『食べるモノ』も・・・なんにもない11匹のネコ
北の空の大きな星の下に湖があって、ネコがどれだけいても食べきれないほどの魚が住んでいるという噂を聞いて、大喜びした11匹のネコたちは喜んで旅に出る・・・
果たして、無事にたどりつけるのか。

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後半は、ミュージカル『11匹のネコ』のリハーサル。
歌唱指導は純子先生がするものの、基本すべて子どもたちが作り上げていく。
踊りも演出も子どもたちが担当する。

もちろん、いろいろな問題が出てくる・・・
この場所に人がいると、次のセットがスムーズに入らない問題には。
【純子先生】 「どうしたらいいと思いますか?」
【子ども】  「少し右にずれて、後ろにスタンバイさせたらいいと思います」
次々と、みんなで意見を出して問題を解決していく。

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もう5時間も続いているリハーサルでも、なぜ子どもたちはキビキビと動いて集中を切らせないでいられるんだろう・・・
そんな思いを見透かしたように
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疲れているのは頭です。体ではありません!
集中力が途切れるのは、身体が疲れているからではないという・・・

疲れているはずの子どもたちの顔は、時間が経つにつれ『キリリ』と精悍になっていく。
一日中ぶっ通しのリハーサルを終えて、明日はいよいよ本番・・・

本番当日!誇り高き制服に腕を通し、最後のリハーサルへ!

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お揃いの制服に身を包み、登場した合唱団員。
昨日のぶっ通しリハーサルの疲れは何処へやら!・・・と、一番思わせるのがもちろん「純子先生」。
本番のお衣装とパンプスを履いたまま、舞台狭しと飛び回る!!

最後のリハーサルも、それはそれは丁寧に『言葉を送り出す』と言う作業を一つずつ確認していきます。


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丁寧なリハーサルなだけに、待ち時間も多い。でも、ふざけたり飽きたりしちゃう子は皆無!
人の踊り&歌を真剣に見て聞いています。
でも、カメラを向けると素敵な笑顔でパチリ♡

「緊張しないの?」と聞くと、「ちょびっとだけ(笑)」と子供どもらしい笑顔!
小さくっても、皆ちゃんと表現者!

たった1日半滞在しただけなのに、なんでこんなに教わることが多いのかしら・・・
これだけの子どもがいて「静かにしなさい」「集中しなさい!」と必ず言われる言葉が
一回も「純子先生」から出ないことに、本当に驚き感動しながら幕が開くのを待つ私。

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心に残る「言葉」をいくつもいただいて♡これからの子育ての大切な宝物♡

純子先生・語録】
●最高のパフォーマンスをするためには、準備を充分にすることです。

●「言葉」をきちんと立たせるには、「送り出す気持ち」と「言葉の強弱」をきちんとつけること。

●小さくても「一人の人間として扱います」それには「責任もきちんとついて回ります」

●黙っていて何かが「解決」することは、ここではありません。

先生が、子どもたちに贈った言葉は決して「歌」に対するものだけではなく
人生に対する先生からのみんなへのメッセージ♡


満員のお客様の中・・・今、幕が開く・・・

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取材を始めて不思議なことが一つあった。
日頃からの「疲れ」と「ストレス」で、気管支炎になってた私・・・
実は合唱団の取材で、この咳でご迷惑をかけるのではととても心配してました。

でも不思議や不思議・・・
子どもたちの澄んだ歌声と純子先生のエネルギーでこの取材中ただの一度も
咳が出なかった・・・(苦笑)

取材を終えて実は大分経つのだが、純子先生の言葉が頭から離れません(笑)
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杉田 純子先生
合唱指導者
洗足学園大学音楽学部声楽科専攻。木下保氏に師事。
卒業後、常葉学園橘高校音楽科・常葉学園短期大学声楽科講師を務める。
2009年から伊東市教育委員会、教育委員長も務める。
現在、東京都中央区立宇佐美学園音楽講師・伊東市少年少女合唱団指揮者・日本少年少女合唱連盟理事。

取材 / 写真/ ライター Reiko












































































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